輪廻転生

 仏教より、まず覚えておかなければならないのは輪廻転生の概念だ。

 なぜならインドから東の多くの地域で、輪廻転生をガッチガチに信じている人が非常に多いから(イスラーム国家を除く)。

 

 日本の仏教では六道(ろくどう/りくどう)という6つの世界をぐるぐる輪廻転生するとしている:天・にん(にん)修羅しゅら(しゅら) ・地獄・餓鬼・畜生。

 

天人てんにん(てんにん) の世界。天人は人間より優れた存在。人間と違って苦しみがなく、快楽にあふれているけれども、寿命があり、死んだら別の世界に転生する。

 

は人間の世界。

 

修羅阿修羅あしゅら(あしゅら)の世界。阿修羅は迷いと、どうでもいい執着にとらわれている。修羅は怒りと苦しみに満ち、阿修羅たちは互いに争って絶えることがない。修羅場なんて言葉があるけど、元は仏教。

 

地獄は、まあ、常識だわな。キリスト教ともイスラームとも共通した概念。ただ仏教の場合は一種の刑務所であって、刑期満了でもって他の世界に転生できる。キリスト教とやイスラームなんかは永遠の苦しみらしいけれども、詳しいことは知らない。

 

餓鬼というのは文字通り飢えた鬼の世界(子どものことをガキんちょなんて言ったりするけど、本来は仏教の言葉)。飢えと渇きの苦しみしかない。いろんな種類の餓鬼がいるらしい。これまた一定期間でもって他の世界に転生できる。割に珍しいけど、日本には施餓鬼会せがきえ(せがきえ)なんて行事がある。これは餓鬼を供養する行事だ。

 

畜生は人間以外の動物の世界。

 

 んまあ架空の世界観だから、人間が実際に認識できるのは畜生だけだわな。

 

 とにかくインドより東じゃすべての生き物は、こうした世界をグルグル輪廻転生しつづけると考えられている。特にイスラームでないインド諸国と東南アジア諸国はそうだ。

 

 こうした世界を輪廻転生するという考え方が日本で一般的でないのは、まず、一切衆生悉有仏性いっさいしゅじょうしつうぶっしょう(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)、すべての生きとし生けるモノはすべて仏となる可能性を持っているという概念が支配的であること、また南無阿弥陀仏が一般的だから、地獄と極楽ぐらいしか問題にならない、これら2点のせいだと思う。

 

 ただし、押さえておいた方が良いポイントがある。それは、仏になれるのは人間だけということ。

 

 ペットの動物が死んでも天国とか極楽浄土とかには行けません。畜生以外の他の世界に転生して、人間の世界に転生してはじめて、仏になれるチャンスが訪れるということ。